本講では微分を定義する.
微分の定義
が存在するときを微分係数といい,で表す.
例として,のとき,
微分は関数のふるまいを記述するのに有効である.
例えば,を考えよう.
このとき,である.
実際,[tex:\displaystyle \lim_{h\rightarrow 0,h\neq 0}\frac{*1-(x^3-x)}{h}=\lim_{h\rightarrow 0,h\neq 0}\frac{(3x^2 h+3x h^2+h^3+h)}{h}=3x^2-1]
である.
事実として,この式をよく見て分かるように,
である.このことは,微分することと関数を足すこと(加法という)はどちらから先に行ってもよいことを意味している.このような性質を微分と加法が可換であるといい表し,代数の言葉で微分は加法に関する準同型であるという.
さて,微分された式を見ると,の解はである.実は,関数はここで極大値,あるいは極小値を持つことが分かる.
ただし,ここでは極大値,極小値とはその関数の値が最大となるような近傍をもつような点での値である(読者の直感に頼り厳密な定義は与えない).
これはなぜかというと,例えばのところでは,常にが負になり,微分の定義の記号でを正として
が成り立つからである.
同様にしてでであり,の範囲ではが最大になることが分かる.
このように,微分とは増減を表す量であるといえる.
*1:x+h)^3-(x+h